Basketball Diary

バスケコーチのブログです

バスケ界の変遷を考える『クラブ化』

育成年代のチームは、部活動を含めて少し環境が変わって来ることが予想されていますし、すでに一部の情報は公開されています。

 

私もチーム運営に携わっているのでそういった流れの一部をヒシヒシと感じていますし、現在は来年度活動を計画する非常に重要な時期ですので色々なことを考える機会があります。

 

私は元々サッカーをしていたので、そういった改革の展望を(私の解釈を)ここに書いてみたいと思います。

 

 

全てはあくまで私が情報を入手して、感じたことやサッカー界の展望をみながら述べる私の一個人の意見だと思って下さい。 

 

⑴ クラブチーム化

まずは、チームのクラブチーム化について書いていきます。

クラブチーム化といっても「え、すでにクラブチームじゃない?」と思うU12のミニバスチームの方もいらっしゃるかと思います。

クラブチーム化って実施にどういうことになるのか、この言葉だけでは非常に曖昧ですよね。ちょっと私の解釈で書いていきたいと思います。

 

U12で行われる改革の中で私が一番大きい変化だなと思うのが、年度別の移籍に対するペナルティがなくなることです。

わかりづらいですね。

従来では(今年度までは)、選手がチームを移籍するときに、協会よりペナルティが課されていました。

どんなペナルティかというと、「1年間の公式戦出場停止処分」です。

選手が公式戦に出場することは、競技人生において非常に重要なパートです。

その機会を取り上げられてしまうのはもちろん賛否両論・・・というのがこれまでの私の印象です。ただし、選手を(いかなる理由においても)排出する際にペナルティを与えることは、トラブルの抑止(回避)に繋がることは間違えありません。

 

プロの世界でも、選手をトレード、排出するときにはその選手に見合う移籍金を支払わなくてはいけないですよね。

それほどに、クラブ(チーム)で得た経験や知識、技術は価値が認められているということです。

 

その価値に対して、1年間の出場停止が釣り合っているかはわからないですが、ペナルティを与えることには納得いきます。

 

あと、そういった指導者間のトラブル回避にも繋がりますが、育成力のあるチームに選手が集まりすぎないようにという工夫もあります。

 

かつては、「3校ルール」と言われていた、地域に完結するような形の選手募集制度もありました。(現在は「近隣校ルール」:近隣であれば3校を超えても良し)

 

今回の改革で、出場停止処分を免れるケースが出て来ることが明らかになっています。

どういうことかというと、

年度始めの登録期間に他チームに移籍する場合は、移籍が可能になる

ということです。

 

これからこのルールに対して、ローカルルールで調整を計って行くみたいですが、
移籍に関するハードルは下がります。

 

このルールから推測される展望は、

育成力のある指導者(チーム)に選手が流れることができる

ということです。

 

選手がチームを選べる時代が来るということですね。

 

確かに、生まれた場所で入れるチームが限られて来るということは、

少し可能性が限られてきてしまいますね。

良くも悪くもです。

 

より良い教育を求めていくことは悪いことではないですし、
そもそもチームは公教育ではないのでまぁスポーツ界をみても自然な流れかなという印象です。

 

ただ、先ほどの移籍最低の話ではないですが、

せっかく育てた選手を力のあるチームに引き抜かれてしまうのはとても悲しい事由かもしれないですね。

 

指導者やチームは向上を怠ってはいけないですね。

 

 

⑵ クラブと部活動

改革の流れは、中学校の教育シーンにも及びます。

まず、現在のサッカー界は民間クラブチームが総じて絶対的な力をつけていて、

その下に部活動の存在があります。

一概に下といってはいけないですが、選手に与えることができる教育や指導、環境を考えてそういった意味で上・下としましょう。

 

プロサッカー選手になりたいと思ったときに、クラブチームに子どもを入れることが自然です。

 

一般的な部活動からでは難しいのが現状です。(無理とはいっていません)

 

何度かサッカーのクラブチームの方とセッションしたことがありますが、

バスケとは比べ物にならないくら先進的です。

まず、コーチが本業(主な仕事)の時点でボランんティアがかなうわけがありません。

物理的な時間など、そもそもが違います。

そして、プロフェッショナリズムから来る実力はそれはもう比べ物になりません。

 

Bリーグのチームをはじめ、多くの民間クラブがこれからどんどん立ち上がってきます。
Jリーグの時もそうでしたが、プロができてスポーツ環境が整って来るとチームがどんどん生まれてきます。

 

現在部活動が抱えている優秀な指導者と呼ばれる人たちはどんどんヘッドハンティングされるでしょう。

もしくは、メソッドやバイブルがどんどん世に商品として出回りはじめます。

現在はすでにコーチを本業でされている方々のメソッドが売られており、注目を集めていますよね。

 

この市場がより大きくなると思います。

 

選手や家庭はクラブという選択肢を得ることによって、より多くの競技環境得ることができます。

そこから部活動とクラブチームの垣根はどんどん高くなっていくことでしょう。

 

 

⑶ 市場化

⑴と⑵をお読みいただくとすでに繋がるかと思いますが、それらも発達環境、競技環境にどんどん値段がついていくことになります。

現在のアマチュアチームはボランティアで成り立っているチームが多いです。

圧倒的にボランティアです。

 

まず、指導者や審判員の育成シーンが有償化されていくと思います。
というのも、現在も一つの資格をとるのに5000円〜1万円以上かかりますが、
まだまだ講師の方の人件費を支払えているかといえばそうでもないはずです。
育成に当たっている指導者の方も、指導者の指導で食えているわけではないと思います。
協会でお仕事されている人とかは別だと思いますが。

 

なぜ、こうした部分からだんだんとお金が流れる仕組みができるでしょう。
その後の展開は「資本主義的な考え」に行き着くと思います。

優秀なスタッフを抱えるチームは当然良質な環境を提供します。

つまり、資金力のあるチームは必然的に力をつけていくということです。

 

そのうちに優秀なジュニア選手にもお金で評価される時代が来るでしょう。

日本にはまだ定着していないですが、スペインサッカー界は9歳からマーケットが存在します。

ドラフト環境などもまだそこまでしっかりできていないのでまだまだ先にはなるかと思いますが、クラブは優秀な選手を買い取る世界も存在します。

 

 

⑷ アマチュアセミプロ

⑴〜⑶が進んでいくと、地域クラブ(アマチュア)とクラブチーム(セミプロ)の間で大きな格差が生まれます。

ただ、この格差は子どもに与える(与えられる)目標や目的、競技環境を明確にすることでしょう。

こうなると完全に、親の所得に応じて選べる環境に限りが出てきます。

アメリカのようにお金持ちはエリート街道を、そうでない家庭はそれなりの環境になってしまいます。

しかし、子どもにとっては非常にわかりやすい世界の棲み分けになることでしょう。

ただし、所得によって環境が限られてしまうのは非常にもどかしいです。

なので、当分は力のある部活動が強い状況が続くことに思います。

これは育成年代に限らず、大学や社会人チームの中でも引き起こる状況に思います。

 

 

さて、ここまで私の予想を語ってきましたが、こういった状況を踏まえて何をしなければいけないか考えてみます。

 

 

⒈選手集め

まずは選手をしっかりと集めなければチームは運営できません。
クラブのメリットやバリューをしっかりと発信していくことだと思います。

 

⒉コンセプト

コンセプトをはっきりさせなければいけません。
クラブはこうしていくよ!というのをしっかりと固めることです。

マチュアを目指すのか、それともトップに食い込むほどの育成を実現していくことか、ということですね。

コンセプトによってやらなければいけないことが変わってきますよね。

 

⒊チャンスを作ること

やはり大切なことがこの「チャンス」を作ることです。

地域のクラブでも、トップクラブでも、どんな子どもでも競技に本気でチャレンジする環境を作っていくことです。

これは1つのチームではできません。

もし、ボランティアクラブでも選手の排出先をしっかり作らなければいけないですし、受け入れる側のクラブも受け入れる準備をしなければいけないです。

NBA選手は自分が生まれ育った地域に選手育成の基金を立ち上げてファンディングをしていたり、どんな子どもでもチャレンジできるチャンスを作っています。

そうした環境は絶対に必要です。

才能を埋もれさせないことは非常に大切です。

 

大きな環境を競技を支える多くのスタッフが協力して、これからの日本バスケ界を支えていかなければいけないです。

 

 

以上、個人的な見解でした。
そんなことを考えながら来年度活動をデザインしてゆければなと思っています。